『 トーク・トゥ・ハー 』 ～ 一方的な愛は愛として成立するのか

そして人生はつづいていく

『 トーク・トゥ・ハー 』　２００２年

http://www.gaga.co.jp/cinema/talktoher/top/top.htm

本作でアカデミー脚本賞を受賞したペドロ・アルモドバル監督の作品。

脚本も氏の手によるもの。

（あらすじ）

病室のベッドに横たわる若くて美しい女性アリシア。彼女は4年前に交通事故に遭い、以来昏睡状態に陥ったまま一度も目覚めることはなかった。看護士のベニグノは4年間彼女を世話し続けるとともに、決して応えてくれることのない相手に向かって毎日語り続けていた。一方、女闘牛士のリディアもまた競技中の事故で昏睡状態に陥っている。彼女の恋人マルコは突然の事故に動転し悲嘆にくれていた。そんなベニグノとマルコは同じクリニックで顔を合わすうちいつしか言葉を交わすようになり、互いの境遇を語り合う中で次第に友情を深めていくのだったが…。

眠ったままの女性に話しつづける。不思議な物語だなぁと惹かれて、本作を観たのですが、監督の意図していることが、よくわからない、いわゆるヨーロッパ的な、それでも人生はつづいていくといった感じでした。

「トーク・トゥ・ハー（彼女に話しかけて）。女性の脳は神秘的だから」

舞台となる病院の名は「エル・ボスケ」。スペイン語で「森」です。そしてそこには美しき眠り姫が二人。うち一人は見知らぬ「王子」の「キス」を受ける。そう、これは「眠れる森の美女」の暗喩なのです。

“一方的な愛は愛として成立するのか”

答えは、ノーだと思います。

本作で描かれているのは、崇高な愛のかたちではありません。

『オール・アバウト・マイ・マザー』でアカデミー外国映画賞を受賞したペドロ・アルモドバル監督の作品というのは、こうしてブログを書く段になって初めて知りました。スペイン映画なので、一瞬、氏のことは浮かんだのですが。（『ボルベール・帰郷』に出ていた女優さんがはじめの方で出ていたので）途中、は？という感じのシーンで大笑いして、ラストは、んーという、なんともペドロ・アルモドバルの伝えたかったことがわかりにくい映画でした。『ボルベール・帰郷』は、何度観てもいいくらい面白かったのになぁ。『 トーク・トゥ・ハー 』は、もっと高尚な作品だと期待してました。はじめとラストにバレエダンスのシーンを入れて、また、闘牛の場面もあったりするのですが、芸術性が高いとは言えず、監督の、男性の欲望の欲するがままに作った作品のように思えました。

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