これが高橋選手の「道 La Strada」 ～ バンクーバー冬季五輪/銅メダルおめでとう！

オリンピックのフィギュアスケートを観て、初めて泣きました。

記憶に残る、素晴らしい魂のこもった滑りでした。

バンクーバー冬季五輪は１８日、フィギュアスケート男子のフリーを行い、ショートプログラム（ＳＰ）で３位だった高橋大輔（２３）がフリーで１５６．９８点をマークし、合計得点２４７．２３で銅メダルに輝きました日本が男子フィギュアでメダルを獲得するのはこれが初めてです

このほか、五輪初出場でＳＰで４位だった織田信成（２２）はフリーの途中で靴ひもが切れるアクシデントがあったが１５３．６９点を記録。合計得点２３８．５４で７位に入賞。織田選手のスケート靴が画面に映し出されたとき、靴先など随分と履きこんでいる様子だった。靴ひもはすでに切れていたが、足の感覚を狂わせたくないため、靴ひもを変えることなく臨んだという。いかにほんの少しでも違うということが、すべてにつながってくるものなのか、初めて知った。

同じく五輪初出場でＳＰで８位だった小塚崇彦（２０）は、フリーで１５１．６０点をマークし、自己ベストの計２３１.１９点で８位に入賞冒頭で４回転ジャンプに挑戦。これまで国際大会で成功したことがない大技だったが、五輪のリンクで跳んで着氷にも成功した

高橋選手の歴史を刻んだ世界一のステップ。

最後の見せ場で、もう涙があふれて止まらなかった。

イタリア映画「道　La Strada（ラ・ストラーダ）」の音楽で演じたフリーには高橋大輔選手のこの4年間が詰まっていた。「喜怒哀楽がある」という場面のそれぞれに自身を投影し、感情を込めた。SP3位から日本男子初の表彰台に。懸命に追いかけてきた金色の輝きではなかったが、報われた。　前回のトリノ五輪8位からの雪辱を胸に滑り出し、2007年に喜びが待っていた。東京開催の世界選手権で銀メダル。4回転ジャンプを一つのプログラムに2度入れようとするなど、世界のトップを走っていた。頂点へあと一歩のところまで迫っていた。怒りと悲しみがない交ぜになったのは、その1年後だった。それまで3年にわたって教えを仰ぎ、苦楽を共にした師の元から去った。ニコライ・モロゾフ・コーチが、同じ関大所属で1歳下のライバル、織田信成を指導すると言い出したからだ。聞いていない。それに、争おうという相手と同じ人に教えてもらうわけにはいかなかった。　そうして迎えた新たなシーズンは、滑り出す前に暗転する。トリプルアクセル（3回転半ジャンプ）の練習中に右ひざの靱帯（じんたい）を断裂。右足はすべてのジャンプの着地を支える。目の前が暗くなった。手術をすればバンクーバー五輪に間に合うという医師の言葉を信じて、08年11月、自分の右ひざ裏からけんを2本移植した。そこからが地獄だった。逃げ出したこともある過酷なリハビリ。氷上に戻っても、体が変化したことで4回転も跳べなくなった。楽しく滑れる日は再び来るのか。

こうして苦しくまったく先の見えない中を、高橋選手は、自らと闘い、またオリンピックという世界の舞台に立つまでに戻ってきたのだ。どんなにつらかったろう。苦しかっただろう。他の選手もみな、自己との闘い、ライバルとの戦いを乗り越えて、この4年に一度のオリンピックという世界最高峰の座に挑んでいるのだが、とりわけ、高橋選手のこれまでを思うと、本当に感動しました。

豊かな表現力のもとに名作と謳われる映画「道　La Strada」で、果敢に４回転ジャンプにチャレンジしたその潔さ。精神力の強さ。高橋選手は、演技構成点は、トップでした。あれほどまでに音楽に合っていて指先ひとつひとつにまで神経を行き渡らせた本当に素晴らしい滑りでした。芸術性の高さ、この作品の世界観を見事に表わしていました。高橋選手の銅メダルは、金メダルと同じだと思います。「銅」は、「金と同じ」と書きます。高橋選手は、４回転ジャンプに挑戦して敗れての金。金メダルのアメリカのライサチェク選手は、４回転を回避して、手堅くミス無く完璧な滑りで金メダルを獲得。高橋選手が果敢に４回転での金メダルに挑んだのは、本当に勇気と感動を与えてくれました。だから、「銅メダル」でも金と同じなのです。そして、日本の選手３人が、みな入賞したというのも、本当に素晴らしい快挙だと思います。

こうして手にした日本人男子初の銅メダル。立派です

本当におめでとうございます

これがバンクーバーオリンピックへつながった

高橋選手の「道　La Strada」

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