『 レイン・フォール／雨の牙 』

日本人であって日本人でなく、街に溶け込む常人に見えて常人ではない、孤高の暗殺者ジョン・レイン。

『 レイン・フォール／雨の牙 』

http://rain-fall.jp/

幻想的な＜東京＞という街を舞台に、大きな罠に取り込まれた男女の逃避行をサスペンスフルに描いた「レイン・フォール／雨の牙」を試写会にて観てきました。全世界でベストセラーとなった小説の映画化です。

主人公の暗殺者ジョン・レインとして、名優ゲイリー・オールドマンに対峙した椎名桔平さん。

椎名桔平さんのアクションや男らしさ、かっこよさ、英語を巧みに操るところがよかったです。とっても素敵でした。主人公ジョン・レインは元米軍特殊部隊員という設定で、当然、格闘に長けていなければならないのですが、“クラヴマガ”と呼ばれる護身格闘術を用いているそうです。クラヴマガはイスラエル式の護身術で、近年は映画でもよく使われています。

長谷川京子さんは、一番最後のラストのシーンが綺麗でした。ジャズピアノの映画の中での演奏シーンは自分で弾いていたそうです。

東京上空からの俯瞰で眺めるビルが立ち並びネオンの光輝く東京の街の様子がとても印象的でした。そして、ニューヨークのマンハッタン・ブリッジを臨む川辺での美しいフィナーレ。

街中のいたるところに防犯カメラがあり、人々の行き交う様子が映し出され、記録されていくさまに、今まで気づかなかった、東京の一面を知りました。帰りの新宿駅では、防犯カメラがいくつもあるのが目に飛び込んできました。

陰影を上手く使って、映像もとても雰囲気がありました。全編にわたって英語が多く、また、全体にながれる力強さと洗練されたアンニュイな雰囲気は、マックス・マニックス監督の手によるものだからでしょうか。これまでの日本映画と大きく異なる魅力を感じました。

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キネマ旬報 2009年 5/1号 [雑誌]