エリア・カザン

作品を知るには、その作者からと思い

『波止場』の監督であるエリア・カザン のおさらいを。

エリア・カザン  Elia Kazan

　　　　　　　映画監督　演出家

（1909年9月7日～2003年9月28日）

出身　トルコ、イスタンブール

ギリシャ人の両親のもとに生まれたギリシャ系アメリカ人。彼が4歳の時、両親と共にトルコの圧政を逃れてアメリカに移住。父親はニューヨークで絨毯商人として成功を収める。イエール大学卒。演劇活動に従事。若き日にスタニスラフスキーとエイゼンシュタインを信奉する。カザンは、演出家のリー・ストラスバーグなどグループ・シアターの同窓生らと共に、俳優養成のための学校「アクターズ・スタジオ」を創設。アクターズ・スタジオは、スタニスラフスキー・システムに基礎を置いた演技法「メソッド」を教授し、マーロン・ブランド、ジェームズ・ディーンなどの他、名優と評価される俳優を数多く生みだしていきました。メソッドを習得した俳優たちを用いたエリア・カザンの監督映画は、ハリウッドに新風を送り込み、映画俳優の演技法に多大な影響を与えていきました。

『紳士協定』『波止場』でアカデミー賞作品賞、監督賞を二度受賞。ジャック・パランス（『暗黒の恐怖』）、ジェームズ・ディーン（『エデンの東』）、マーロン・ブランド（『欲望という名の電車』と『波止場』）、ウォーレン・ベイティ（『草原の輝き』）など新人発掘に腕のさえを見せる。

冷戦の激化によって赤狩りの嵐が吹き荒れた1952年。共産主義者の疑いをかけられたカザンは、身の潔白を証明するために共産党員の疑いのある11人の友人の名前を非米活動委員会に公表。ニューヨーク・タイムズ紙には共産党員である事を否定する広告を出した。この裏切りとも言える行為によってカザンは長い間非難を受け、この一件は彼の作風にも強い影響を与えて、自らの苦悩を投影した、明確なメッセージと自己主張を持った作品を生み出すようになります。

98年、アカデミー名誉賞を受賞した際、彼の「裏切り」に今も批判的な多くの人（会場の半数近くとも）は、拍手をしない、あるいは起立しないなどの意思表示を行なったそうです。

俳優に対する要求の厳しさでは定評のあったウィリアム・ワイラー並みに演技に対する要求は厳しく、俳優達から最高の演技を引き出す術を心得ており、数多くの俳優たちをハリウッドの演技派スターに育て上げました。

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