『フロスト×ニクソン』～テレビのパワー

まったくもって、一分のすきもない。

グローブなしで、

知性で闘うボクシング映画。

『フロスト×ニクソン』

http://www.frost-nixon.jp/

これは、実話です。

4500万人のアメリカ国民を釘付けにし、アメリカテレビ番組史上、最高の視聴数をはじき出しました。

ケビン・ベーコン　ケビン・ベーコン

ウォーターゲート事件への関与から辞任に追い込まれた大統領と

その大統領にインタビューするのは「一度も投票に行ったことがない」くらい、政治の世界とはほど遠い、セレブなテレビ司会者。

政界への再起を賭ける王者とアメリカテレビ界への進出を賭けるイギリスの人気司会者が魅せるこのインタビューは、とてもいろいろなことを考えさせてくれました。

あの晩。最終のインタビューを前にして、少しお酒の入ったニクソンが、フロストに電話掛けて、真情を吐露するシーン。ここはこの映画のとても大切なシーンだと思います。

もうひとつのポイントは、

ターリーの赤いランプを灯して、静かにまわるテレビカメラ。

クローズアップ。テレビの政治への影響。テレビのパワーです。

テレビにどう映るか？それが観ている人たちにどう印象づけられるか。

それはテレビの世界のはしくれにいた私にも、とてもわかります。

このニクソンという魅力的な人物は、日本でいうと誰にあたるのかなと、映画を観ながら、思いをめぐらせていました。

私の中に浮かんだのは、故・田中角栄氏。

今日の政治家には、ニクソン元大統領や田中角栄首相のような風格ある巨人はどこにも見当たりません。こんな政治のからまわりが叫ばれている時代だからこそ、こういった映画『フロスト×ニクソン』という歴史の一ページから、学ぶところも感ずるところも多いのではないでしょうか。

また、1970年代のアメリカの当時の雰囲気も楽しめます。

ニール・ヤングが歌い、今をときめく華やかな世界で活躍するセレブがずらりと。あのパーティのシーンは、フロストをとりまく環境をよくあらわしていました。ニール・ヤングの歌に懐かしさを感じる方もいるのではないでしょうか。そして、イタリアの靴が出てくるのですが、どこのブランドなのだろう？と思っているとエンディングロールでGUCCIグッチと。GUCCIグッチとわかって、フロストの好みというか、それもまた彼をよくあらわしているもののひとつであると感じました。

主演のフランク・ランジェラは、舞台版でも同じ役を演じてトニー賞とドラマディスク賞の主演男優賞に輝いています。映画では、さらに風格のある名演で、アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされました。フロストを演じたマイケル・シーンもまた舞台からそのままの続投であり、監督のロン・ハワードがこだわったところのひとつです。ピーター・モーガンによって大ヒット舞台となり、このたびこうして、映画化されました。日本でも今秋、舞台化されます。

本年度のアカデミー賞で、作品賞、監督賞（ロン・ハワード）、主演男優賞（フランク・ランジェラ）、脚色賞、編集賞にもノミネートされた秀逸なる作品です。

２時間なんてあっという間でした。そのくらい面白かったです。この前段となる大統領の陰謀（1976）を観てから、じっくりと『フロスト×ニクソン』を、もう一度、観たいです。

【人気ブログランキング】にチャレンジしていますブログの右上からです。人気blogランキングへからもOKです。どうぞよろしくお願い致します今日は何位？

【にほんぶろぐ村のライフスタイルブログ】は、「ライフスタイルブログ」から「都市生活」に入っていただくとOKです。！今日は何位？