『おくりびと』

それは終わりではなくて、誰もがくぐりぬける門

いつかは誰もが　おくりびと　おくられびと

第８１回米国アカデミー賞外国語映画賞部門にノミネートが決定した、

話題の映画、『おくりびと』を観てきました。

『おくりびと』

http://www.okuribito.jp/

誰にも平等に訪れる最期の瞬間を、より良いものにするための手伝いをする、納棺師という珍しい職業にスポットを当てた映画『おくりびと』。かつて旅先で遭遇した納棺の儀式に感銘を受けた主演の本木雅弘さんの発案だというユニークな題材を持つ本作は、涙と笑いの中にも、生きること死にゆくことへの大切なものを気づかせてくれました。

納棺師とはなんと見事な仕事だろう。主演の本木雅弘さんと山崎努さんのスムーズな手の動きに思わず見とれてしまいました。指先まで神経の行き届いた素晴らしい納棺技術は、それはひたすら美しく厳かな旅立ちの儀式にふさわしい所作であり、心が込められており、まるで神職のように思いました。

納棺師の先輩役の山崎努さんがフグの白子焼きを、伊丹十三映画のように美味しそうに食べるシーンがあります。食べることも人間の営みのひとつで、生き物の“死”に始末をつける行為であることを、映画の全編を通して食事のシーンが多くあり、グロテスクなまでに見せつけるのが興味深く思いました。人間は生き物の“死”の上にしか“生”を享受できないという現実。たくさんの死の上に、自分が生きているのです。

チェロや石文（いしぶみ）というモチーフもあたたかみを与え、音楽もとても静かに心にしみわたりました。毎日を大切に生きること、周りの人たちへの優しさをあらためて感じ、死生観に向き合える心をもつこと。

別れを知れば、出会いという輝きがよりかけがえのないものに感じられる。

死に接することによって、今自分が生きていることの尊さを再認識できました。

とても心に残る、生涯忘れえぬ作品となりました。

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『おくりびと』のノベライズ本　　

本木雅弘さんが読んで感銘をうけたという『定本　納棺夫日記』

 おくりびと 

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