『夜になるまえに』

「キーボードに両手をすべらせる。すぐ、すべてが動き出す。カチャ、カチャ、カチャカチャという音が、音楽がはじまる。」　ー　レイナルド・アレナス

映画『夜になるまえに』　http://www.asmik-ace.com/Bnf/

4年の歳月をかけて制作された『夜になるまえに』は、キューバの亡命作家レイナルド・アレナスの自伝を基に描かれたもので、監督　ジュリアン・シュナーベルのこの作品は、2000年ヴェネチア国際映画祭男優賞・審査員グランプリ賞受賞／2000年全米批評家協会賞主演男優賞受賞など数々の賞を受賞しました。

極貧の幼年時代、カストロに熱狂したキューバ革命を経て、迫害、投獄、亡命と、アレナスに起こった、様々な逆境。それはアレナスを傷付けると同時に、アレナスに書く力を与えてきました。

レイナルド・アレナスを演じたのは、コーエン兄弟監督作『ノーカントリー』（2008年アカデミー賞作品賞・助演男優賞等を受賞）での怪演が記憶に新しいハビエル・バルデム。ハビエルはこの役を演じる為に13.5㎏減量し、英語とキューバなまりのスペイン語を特訓したといいます。

熱狂的な原色、音楽、独裁政権、暴力的なエネルギーがみなぎる南国キューバ。自分がこの時代に生きていたら、こんなふうに這い上がれるだろうかと思うくらいの、激しい人生。生きる力は、書きつづけたいという彼の力から湧き出てきたものだと。

レイナルド・アレナスの人生を通して、今までにどこにも見たことのない、魂に突き刺さる何かを与えてくれた作品でした。

人気blogランキングへ