生々流転
《生々流転》は横山大観55歳の作で、長大な画面にもかかわらず、どこにも破綻のない完璧な構成によって組み立てられたとても密度の高い作品です。
大気中の水蒸気からできた1粒の水滴が川をなし海へ注ぎ、やがて龍となり天へ昇るという水の一生を、40メートルにもおよぶ大変長い画面に水墨で描かれています。「生々流転」とは「万物は永遠に生死を繰り返し、絶えず移り変わってゆくこと」という意味の言葉です。大観の壮大な自然観や人生観をも読み取れるダイナミックな作品ですが、一方で画面のところどころに鹿や猿などの生きもの、川に舟を浮かべる人などの小さなモチーフが描きこまれ、ささやかな生命に対する温かい眼差しもうかがうことができます。
人は、どこから来てどこへ行くのか。輪廻転生を水の転生に譬えたこの《生々流転》は、スケールの大きい、大観、渾身の作品であり、絵巻物が好きだったという大観が、なんだか、嬉々として筆を握っている様子が目に浮かびました。
« 横山大観~新たなる伝説へ | トップページ | 醉 心 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 深まる秋にバイオリンを楽しむ(2010.11.22)
- ■決定版!【吉祥寺こだわりグルメ ☆ 新・東京見聞録 】 ~スーパーJチャンネル(2010.10.08)
- 私、ク・ドンベクさんと結婚したい!~ 『アクシデント・カップル』最高の韓流ドラマ☆(2010.10.05)
- 「すべてはこの暑さ、あの太陽のせいだ」(2010.07.27)
- 成城のお風呂屋さん ~ 移りゆく街の風景(2010.05.25)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ◆大人気!【 今からでも間に合う! くるみ1日7個 血管若返り法 】~「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」(2014.04.22)
- 今や私のライフワークです。~ 第19回新聞配達に関するエッセイコンテスト2012(2012.10.29)
- ■楽天最安値!【 エーオーセプトクリアケア 360ml/コンタクトケア用品 】激安(2012.07.01)
- ちいさん本当にありがとうございました!【ちい散歩 名優 地井武男さん 逝く 】 (2012.07.01)
- ☆大注目!【美と健康の宝箱!ナッツ▽くるみでダイエット!?アーモンドで老化&便秘予防▽ナッツダレでレシピ倍増】NHKあさイチ5月30日放送(2012.05.31)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
もう少し大きな画面で見られたら、よりダイナミックに見えたでしょうね。
投稿: べるの | 2008年3月 3日 (月) 10時16分
良い展覧会を見ましたね。nanryoの仲間で同級生の一人が、わざわざ十日町から見に来ていました。たぐーは残念ながらまだ見ていません。彼は本当に感激していました。彼のメールの一部↓
予定通り昨日上京、念願の「横山大観~没後50年展」「ロートレック展」をまとめて鑑賞してきました。前者は一言で云えば”想像を超えた”圧巻でした。
何とかして見に行こうと思っております。
投稿: 酔いどれたぐー | 2008年3月 3日 (月) 10時44分
私も先日この大観展に行きました。「生々流転」という作品は、ただただ驚くばかりでした。
あまりにも大勢の人だかりでしたが、深山幽谷での水の流れる音や逆巻く怒涛の水音が、確かに私の耳には聞こえていました。
投稿: iga | 2008年3月 3日 (月) 14時38分
「生々流転」ですかー、まあすごい作品ですよね。竹橋の国立近美の所蔵品なんですね。随分昔ですが、常設展示で見た記憶があります。
大観の作品って、この「生々流転」も、他の作品、例えば「無我」なんかももそうですが、モチーフそのものは案外俗で、まあかなり通俗的な観念ですよね。
そんなものを他の人が取り上げたら低俗な愚作になりかねませんが、大観はそこを圧倒的な筆力とスケールで描き上げていますよね。
その余人の及ばぬド迫力で、俗臭も何もぶっ飛ばしてしまって完成させているというところが、例えば黒澤明監督なんかとちょっと似ているなあ、と思いました(^^;)。
投稿: クフロ | 2008年3月 8日 (土) 19時46分
べるのさんへ
《生々流転》は、40メートルからありますから
画面ではそのスケールは
収まりきれるはずもなく
ぜひ本物をご覧いただく機会を
お持ちいただけましたらと存じます。
酔いどれたぐーさんへ
やはり素晴らしい作品を遠くから
みなさん観に来ていらっしゃるのですね。
とても人気のある展覧会で、
お客さんもいっぱいでした。
展覧会は、終了してしまいましたが、
横山大観氏の作品は
上野・不忍池の大観記念館
竹橋の国立近代美術館
上野の東京国立博物館などで
楽しめると思います。
igaさんへ
本当に大勢の人で溢れかえっていて
とくにこの《生々流転》は、ずらりと列を作って
みなさんじっくりと楽しんでいましたね。
もっと大観の世界を深く知りたいなぁと
よいきっかけになった展覧会でした☆
クフロさんへ
横山大観氏から黒澤明監督を
想起されるというのは
クフロさんらしい、視点ですね。
芸術というのは、本当に我が世界観を
いかにして表現するのか
どんなふうに広がりをもってゆくのか
本当に奥深いものであり
ますます興味がわいてきました。
投稿: 葉 子 | 2008年3月10日 (月) 23時17分