人 形 町

人形焼きで有名な「人形町」。いったいどういったいわれがあるのだろうと。

東京の中心お江戸「日本橋」は東京都中央区の中心でもあります。江戸時代の五街道から現在の国道に至るまでここが起点でした。その日本橋から北東に８００メートルほど行ったところが日本橋人形町です。北は馬喰町、東は隅田川、西は室町、南は水天宮のある蛎殻町に囲まれています。昔ながらの地名がいまも残されており、この界隈には由緒ある場所、お店が数多く点在しています。

「人形町」は、江戸時代初期に創られた歴史ある町で、中村座、市村座といった歌舞伎の大芝居が華やかだった頃、堺町、葺屋町には浄瑠璃の伴奏で手軽に楽しめる操り人形の芝居小屋がたくさん登場しました。人形芝居は、一幕、二幕の短い筋書きで一日数回の興行、安い木戸銭でしかも短い時間で十分芝居を楽しめ、庶民の娯楽として盛況を呼んだようです。この界隈（現在の2丁目周辺）には人形を製作し、修理する人や、舞台で人形を操る人形師が大勢暮らしていたと言われています。また、手遊物・錦絵などを扱う商家も多く、正月には手鞠羽子板、3月の節句には雛人形、5月には菖蒲人形など季節ごとの市がたち、年間とおして人々の賑わいの絶えない街でした。正式に｢人形町｣という町名がついたのは関東大震災以降の区画整理で、昭和8年になってからのことです。