ショスタコービッチ
生誕250年はモーツァルト、そして生誕100年としてショスタコービッチが注目されている。ドミトリー・ショスタコービッチ。1906年、サンクトペテルブルク生まれのロシアの作曲家。ペトログラード音楽院に学び、卒業作品の交響曲第1番で国際的に注目される。30年代、オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」の上演が大成功し、外国でも上演されたが、36年、綱紀粛正政策の中で批判を受け、上演禁止処分となるなど、スターリン体制下のソ連当局から度々批判を受けた。生涯で15の交響曲と15の弦楽四重奏曲などを残した。主な代表曲としては、交響曲第5番ニ短調作品47「革命」、交響曲第7番ハ長調作品60「レニングラード」、そしてスターリンの死後速筆で書かれたといわれる大作の交響曲第10番ホ短調作品93。
モーツァルトと比較して聴いていると、私はどうしてもモーツァルト贔屓になってしまう。初めて聴いた交響曲第10番の重厚さは、モーツァルトの明るさ華やかさとはまったく異なっていてそのイメージがとても強かった。けれども、今夜の交響曲第4番と交響曲第11番は、心に響いた。
ショスタコービッチが影響を受けたと言われる、ロッシーニ、ボロディン、ムソルグスキー、ストラビンスキー、マーラー、評論家・アサフィエフらといわれている。マーラーの影響の下に書かれた交響曲第4番とムソルグスキーの影響で書かれた交響曲第11番。彼の生きたスターリン体制下で国家による統制、つまりスターリン賛歌や革命参加など、大衆にプロパガンダとして理解しやすい音楽を当局が求めたことから、どうしても音楽そのものが保守的と。しかし彼の本当に表現しようとしたことは、体制に阿ることではなく、こうした今、自由世界に生きる私たちへのメッセージをその深遠なる旋律の中に見てとることができた。
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コメント
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こんにちは、廣津です。
ショスタコーヴィッチは私も最近よく効いています。コメントされていたのは交響曲が多いようですが、チェロ曲は聴かれたことがありますか?
私のお奨めは「チェロソナタ op.40」なんとも心にしみる旋律が、人間の声に近いといわれるチェロの音で語りかけてきます。言葉で表現するのはとても難しいので、機会があったら是非聞いてみてください。
ひろつ
投稿: 廣津晋一 | 2006年11月13日 (月) 19時12分
廣津さんへ
初コメントありがとうございます♪
とっても嬉しいです(^0^)!
ショスタコーヴィッチのチェロ曲は聴いたことがないんです。
廣津さんお奨めの「チェロソナタ op.40」、ぜひ聞いてみてたいです☆
゛人間の声に近いといわれるチェロの音で語りかける゛って、なるほどーと思いました。じっくりと聴いてみます。
投稿: 葉 子 | 2006年11月15日 (水) 08時16分
こんにちは、毎回多彩な話題の日記、楽しみに読ませていただいています。
先週のN響アワーご覧になったのですね。私も見ていました。
ショスタコービチは私の好きな作曲家で、めぼしい作品は殆ど持っていると思います。
交響曲第10番はどこでお聞きになったのでしょうか。私も初めて聞いたときにはとまどったのを覚えています。長いし、かなり複雑な内容の作品ですからね。
ところで、かつてはショスタコービチは、西側ではかなり冷淡な評価をされていました。
現代の作曲家としても前衛作曲家ではありませんでしたし、また政治的にも従順な体制追随派とも見られていたので。
しかし実際には彼は単に体制順応というだけではなく、かなり大幅な作風の変遷を経ています。いうまでもなく、このような変遷は、西側の自由体制下にいた作家だとしても、十分生じうることです。
いまや冷戦も終結して久しく、彼の作曲家人生に長くのしかかっていたであろう独裁政治家も、いやそれどころかソビエト国家も共産党による統治そのものも、もはや全てうたかたとなって消え去ってしまいました。
このような現在、生誕100年を機会に、彼の遺した音楽に、先入観にとらわれることなく虚心坦懐に接しようという機運が出てきたのは喜ばしいことです。
思わず(^^;)長くなりましたが、では!
投稿: クフロ | 2006年11月15日 (水) 22時27分
クフロさんへ
お久しぶりです。コメントありがとうございます(^0^)
「ショスターコヴィチの証言」はもうお読みになられましたでしょうか。
文庫で500ページ程ありますが、
作曲者がその作品を演奏する指揮者のことをこてんぱんに言っているなど、
とても面白いです。
ぜひおすすめします☆
投稿: 葉 子 | 2006年11月16日 (木) 23時12分
おお(^^;)、『証言』をお読みになりましたか。
私も邦訳が出てすぐに読みました。まだ冷戦真っ盛りの頃。本当に「衝撃的な」内容でしたね。
西側の知識人は「では、われわれはロバの耳しかもっていなかったのだろうか」という苦渋と自問を迫られたものです。
その後この『証言』自体の真偽をめぐる論争もありましたが、いまやそのような議論を超えて、音楽そのものに耳を傾ける気運に至っているようで、何より喜ばしいことと思います。
投稿: クフロ | 2006年11月17日 (金) 01時13分