天台のこころ
朝九時半の開館のところを十時に到着。入り口近くで上映されていた天台宗についてのVTRで予習し、十時十五分スタート。既に多勢の人が人をかきわけかきわけしてピタッと顔をガラスにくつけて国宝・重文の数々を見ている。展示の八割が国宝若しくは重要文化財というだけあって、見応え十分。午後一時近くまでじっくりと。
天台宗は千二百年前、中国・隋時代の高僧智顗(ちぎ)の教えに始まる。そして宗祖である最澄(766-822)は、「一切が菩薩であり、一切が成仏できる」一乗思想に心酔し、これを中心とする円教(完全なる教え)を日本天台の教義の柱とした。くわえて秘密行法により人々の願いをかなえる密教と、菩薩戒(菩薩として生きるための戒め)、達磨大師の禅の教えなど、円・密・戒・禅の四宗を兼学することを旨とした。最澄は、西暦806年桓武天皇の公認を得て、比叡山に天台宗を立教開宗する。そして、今年平成十八年で立教開宗の千二百年の慶事を迎えたのである。
五十年に一度しか公開されないという秘仏など。仏像もいきなりひっぱり出されては心の準備が出来ていなかったことだろう。静けさと慈愛に満ち溢れた最澄上人のお顔、勇壮なる体躯の毘沙門天立像、どれもいつまで見ていても見飽きない。
展示のひとつにぽっかりと空いていて、写真とことわり書きが。島根県の鰐淵寺にあった十三世紀鎌倉時代の重要文化財「一字金輪曼荼羅図」の写真のみ。出品予定だったものが、直前に盗難に遭い、現在行方がわからないとのこと。自分一人のものにしたかったのか、盗んで高く売ろうとしたのか。「一切は菩薩であり、一切が成仏できる」という天台のこころもこの盗人を許さじまい。
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コメント
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はじめまして、「和の心」展では娘が大変お世話になりました。
都会の生活に不慣れな彼女は、あなたのような素敵な女性に巡り会えてとても感激しておりました。
私も早速HPをお尋ねしましたら、ほとんど興味の対象や感動のツボが同じで(映画も、行きたかった美術展もほとんど同じです)、これは本当に不思議なご縁としかいいようがありません。
天台の国宝展も、最澄の「一隅を照らす」が座右の銘でしたので、夫と一緒に上京しました。久しぶりに家族が集合して、楽しいひと時を過ごした忘れられない思い出です。
このブログであなたの感動を分けていただくことを楽しみにしております。
投稿: nagomi | 2006年6月 6日 (火) 17時27分
nagomi さんへ
コメントありがとうございます(^0^)とっても嬉しかったです♪
お嬢さんやお母さまとこうしてブログを通してお付き合い
させて頂けてとっても幸せに思います。
どうかお二人からまたいろいろなことを学ばせて下さい。
これからもよろしくお願い致します☆
nagomi さんのホームページ
みなさん、ぜひご覧になって下さいね!
http://kamon21.web.infoseek.co.jp
投稿: 葉 子 | 2006年6月11日 (日) 20時00分