梅原龍三郎展
未完となった浅間(絶筆)の前でしばし立ちすくんだ。97歳10ヶ月の生涯で最後まで「描く」ということに魂を込めたその絵は、梅原龍三郎氏(1888-1986)の思いが胸にせまりくるものがあった。若い頃の作品には、丁寧に細部まで細かく描きこまれているものもあるが、或る時点より大胆で色鮮やかな、より豊かなものへと確立されていく。明るく豪華にという氏の絵は、少しはなれて眺めるのがいい。「富士山」などは最たるものだろう。「富士山」や「浅間山」を好んだこと。ヨーロッパ旅行13回、アメリカ旅行2回、旧満州・中国旅行8回、台湾香港旅行5回と精力的に外遊制作を繰り返し、さまざまな主題をとりあげてきた。ルノワールに師事し、ピカソとも交流があり、国内においては武者小路実篤や志賀直哉・岸田劉生ら「白樺派」の友人たちたの交友を示す作品や資料も興味深かった。東洋美と西洋美の接点を追求して、華麗な色彩と剛放な筆捌きで独自の画境を拓いた近代洋画の祖。まさに新しき古典なのだろう。
※役立つブログ・話題のブログがいっぱい!
→ 人気blogランキングへ
« さあ、がんばろう! | トップページ | おちょぼぐち »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 深まる秋にバイオリンを楽しむ(2010.11.22)
- ■決定版!【吉祥寺こだわりグルメ ☆ 新・東京見聞録 】 ~スーパーJチャンネル(2010.10.08)
- 私、ク・ドンベクさんと結婚したい!~ 『アクシデント・カップル』最高の韓流ドラマ☆(2010.10.05)
- 「すべてはこの暑さ、あの太陽のせいだ」(2010.07.27)
- 成城のお風呂屋さん ~ 移りゆく街の風景(2010.05.25)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
先日行って来ましたよ-。
色鮮やかで力強い絵だったね。
親交の厚さから察するに、人間的にも幅があり
何にでも興味を持つ人だったんだろうなあ。
美術館や展覧会というのは、ある種独特の世界観があるよねえ。
その作品に出会えたことの喜びを感じさせられます。
投稿: ぴょんぴょん | 2006年5月29日 (月) 23時21分
確かにとってもパワフルな人だったに違いありません。
だって、ヨーロッパの街並みと思しきところで、
散歩するがごとく首輪を付けたトラとの写真。
ん・・・やっぱり芸術ってそもそもの根本の発想からして
常人とは異なるのでしょうね。
べんがらの朱を好んだということで、会場が一面べんがら色だったのも、
とても印象的だったね。
投稿: 葉 子 | 2006年5月31日 (水) 00時00分