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シンデレラマン

4812423104_thumb 実話に、ことさら弱いのである。  「これは真実の物語です」

その一言で、鳥肌がたつ。涙があふれてくる。

この「シンデレラマン」は、夫婦の深い愛情と家族の絆、そして「闘う」こと、「生きること」をごくシンプルにしかも見る人の胸に激しいボクシングの試合とともに、訴えかけてくる。

ラッセル・クロウ演じる主人公の貧しいアイルランド系ボクサー 

         ジム・ブラドックは言う  「リングの上の痛みは耐えられる」  

『えっーあんなに痛そうなのに』と思った。でも、顔に体にパンチを浴び、その痛みに耐えられるのは、すべて彼が守りたい家族のため。美しい妻メイ(レネー・ゼルウィガー)と天使のような3人の子供たち。命をかけて闘うのは、心から家族を愛し、家族と慎ましく暮らしていくための彼にとっての唯一の手段だったのだ。

世のお父さんたちは、どうだろう。自分のベストを尽くして精一杯働いている。働くのは、自分のためであり、家族のためであるのだ。「いちくち・にかか・さんこの・しおや」これは、養っていく、面倒を見る順番として、母に教えられた。一番は、自分の口。二番目は、かか=妻の口。三番目は、こ=子供。そして、四番目が親の口。ジムはまず、家族の口。自分がどんなにお腹をすかせていても、まず家族に。骨折していても治療するお金すらないような貧困の中での生活。では、今の世の中、家族はどれだけ感謝しているだろう。夫だから、父親だから当たり前と思っていないか。リングの上で、激しいパンチを浴びるジムを見ながら、世のお父さんたちだって、社会でこのパンチを受けているように激しく闘っているんだと感じた。

1930年代大恐慌のアメリカ、不景気、失業者の増大、日々の暮らしにも困り、配給に並ぶ人々の列。今の、この恵まれた日本からは想像もつかない。そんな中、ケガと敗戦と貧困に陥っていたジムだか、奇跡の復活をとげ、「ミルクのため」、やがては暗く貧しい時代に喘ぐ人々の希望の星、不可能を可能に変える男‘シンデレラマン’として、闘うのだ。          

   ヘビー級世界チャンピオンとの最後の試合では、ジムは形勢不利と言われながらも、15Rボロボロになるまで死闘を繰り広げる。そして、最後にジムが勝てたのは、愛する妻、子供たちを思い出し、自分の支えになるものを再確認して、家族の幸せだけを願って、そして相手をうちのめして、リングに倒れるところをイメージし、その通りにしたからだと。イメージすることは、大切だと改めて思った。

不可能を可能に変える。生活保護を受け、食糧配給の列に並んでいた男が奇跡の復活を遂げる‘シンデレラマン’自分の願いを叶えたいのなら、いつも「勝つ」ことをイメージすることだ。 ヘビー級世界チャンピオンを倒した試合のシーンでは、全身に鳥肌がたつ思いだった。

そして、勝ったジムは、愛する家族の元へと帰っていく。地位や名誉にこだわることなく一小市民として、人生をまっとうしたという。実在のボクサーである。       

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